2014年11月3日月曜日

ジーキル博士とハイド氏 

Title : The Strange Case of Dr. Jekyll and Hyde
Author : Robert Louis Stevenson

ジーキル博士とハイド氏は二重人格の代名詞ですが、原作を読みました。

個人的には、ジーキル博士とハイド氏といえば・・・




ショーン・コネリー主演の『リーグ・オブ・レジェンド』に登場する
ジキル&ハイドの印象が強かったのですが(笑)、
今回新潮文庫の田中西二郎さんが翻訳したものを改めて読んでみました。


・薬が、容姿や背丈をも変える効果があるのですか、この非現実的設定に、少し軽い(いわゆる純文学とは少し違う)印象を受けました。

・しかし、やはり時代を超えて愛される名作。
最終話の「ジーキルの陳述書」に書かれていた内容を読んでいくうちに、本作品は、
人間の善と悪の心理に迫る文学作品であると理解しました。

・そもそも、田中氏の言う、内に秘めたる「悪心」を、今現在私は持て余していないので(笑)、非常に感情移入したり、ひざを打ってなるほどなるほどよく言ってくれた、というような読後感ではありませんでした。


興味深かったのは、田中氏が解説において行った、イギリスのunpleasantness
(ここでの、unpleasantnessとは、人が普通生活するにあたって、楽しくないことだといいます。)
を扱った二流の文学の存在を踏まえての考察です。


(イギリス人の性格として、楽しくないことは対外的に隠して生活したい。しかし、その反動として、娯楽作品に日ごろのunpleasantnessの鬱憤を晴らすようになるみたいで、それが、(仮)二流の文学へと向かうようです。例えば、犯罪、自殺、スキャンダルものが描かれた探偵小説やスパイ物語など。いわゆる純文学よりも一段低い眼で見られるそれらの中にも優れた名作も生まれると書かれてありました。


長くなりましたが、
そのunpleasantnessの典型的姿こそがつまりハイドであると、田中氏が言っていたのです。

・・・なるほど!
この考察は・・・目からうろこです。

海外文学も、その時代背景や国民性にまで目を向けると、より深い味わいがありますね。

今回も、解説に助けられました。

0 件のコメント:

コメントを投稿