若きウェルテルの悩み ゲーテ
DIE LEIDEN DES JUNGEN WERTHERS
Johann Wolfgang von Goethe
覚書
(p.6)
奸計や悪意なんかよりも、誤解や怠惰のほうがよっぽどいざこざの基になるんだね。すくなくとも前の二つのほうがたしかに珍しいんだ。
(p.44)
人間が互いに苦しめあうくらい、ばかげたことはないんだ。ことに若い人たちがいっさいのよろこびにたいしてもっとも開放的でありうる人生の春にさ・・・≪略≫
(p.50)
(ロッテは子供に嘘を本当のように思わせている。それに対してある人から批判があったが、しかし・・・)
われわれは神がわれわれを遇するように、子供を遇しなければならない。神は心たのしい錯覚のうちにわれわれを酔ったように歩かせるときこそ、われわれを最も幸福にしてくれるのだ。
(p.57)
世の中のことは、どんなこともよくよく考えてみればくだらないのだ。だから自分の情熱や自分の欲求からでもないのに、他人のため、金のため、あるいは名誉とか何とかのためにあくせくする人間はいつだって阿呆なのだ。
高橋義孝氏の解説より
(p.206)
主人公ウェルテルの無限への衝動、豊かな感情は、同時にゲーテ自身のものでもあったが、ただ一つ、作者ゲーテに見られるような創造的な精神が主人公に欠けているという点が決定的な違いである。ひたすら自己の感情に忠実で、青春のエネルギーのすべてをもっぱら自己の内部に向けるのみで、現実の社会に適応し、そこに自己の生活を築き上げることを知らない成年の悲劇が『ウェルテル』なのである。後年ゲーテは、「『ウェルテル』は、厭世という病的状態から生まれたものであり、あの時代の病的風潮であったセンティメンタリズムを文学的に記録した小説である」と言っている。
小さな感想
自殺をたどる精神状態に肉薄した作品。
登場人物の置かれたある意味究極の状況を疑似体験したことで、人の心の危うさを体感した。
私が文学者になったとしても、自殺をテーマに作品を書き上げることは恐ろしくてできない。私自身が最後までいってしまいそうで。
自殺をここまで追究したゲーテに、脱帽。
あと、ちりばめられた人生の教訓がよかった。
DIE LEIDEN DES JUNGEN WERTHERS
Johann Wolfgang von Goethe
覚書
(p.6)
奸計や悪意なんかよりも、誤解や怠惰のほうがよっぽどいざこざの基になるんだね。すくなくとも前の二つのほうがたしかに珍しいんだ。
(p.44)
人間が互いに苦しめあうくらい、ばかげたことはないんだ。ことに若い人たちがいっさいのよろこびにたいしてもっとも開放的でありうる人生の春にさ・・・≪略≫
(p.50)
(ロッテは子供に嘘を本当のように思わせている。それに対してある人から批判があったが、しかし・・・)
われわれは神がわれわれを遇するように、子供を遇しなければならない。神は心たのしい錯覚のうちにわれわれを酔ったように歩かせるときこそ、われわれを最も幸福にしてくれるのだ。
(p.57)
世の中のことは、どんなこともよくよく考えてみればくだらないのだ。だから自分の情熱や自分の欲求からでもないのに、他人のため、金のため、あるいは名誉とか何とかのためにあくせくする人間はいつだって阿呆なのだ。
高橋義孝氏の解説より
(p.206)
主人公ウェルテルの無限への衝動、豊かな感情は、同時にゲーテ自身のものでもあったが、ただ一つ、作者ゲーテに見られるような創造的な精神が主人公に欠けているという点が決定的な違いである。ひたすら自己の感情に忠実で、青春のエネルギーのすべてをもっぱら自己の内部に向けるのみで、現実の社会に適応し、そこに自己の生活を築き上げることを知らない成年の悲劇が『ウェルテル』なのである。後年ゲーテは、「『ウェルテル』は、厭世という病的状態から生まれたものであり、あの時代の病的風潮であったセンティメンタリズムを文学的に記録した小説である」と言っている。
小さな感想
自殺をたどる精神状態に肉薄した作品。
登場人物の置かれたある意味究極の状況を疑似体験したことで、人の心の危うさを体感した。
私が文学者になったとしても、自殺をテーマに作品を書き上げることは恐ろしくてできない。私自身が最後までいってしまいそうで。
自殺をここまで追究したゲーテに、脱帽。
あと、ちりばめられた人生の教訓がよかった。